コンテンツへスキップ 投稿日:2022年4月14日/更新日:2024年12月23日

エペソ人への手紙の神学的メッセージ

エペソの神殿

エペソ人への手紙のアウトラインと神学的メッセージをわかりやすく解説します。エペソ人への手紙は、新約聖書の中に上下はありませんが、エペソ人への手紙は、教会が何たるかを理解するうえで欠かせない書です。神学的な教会の意味および神の計画を説明します。

エペソ人への手紙のアウトライン

エペソ人への手紙の内容は、大きく2つ(1章―3章、4章―6章)に分けられます。前半部分は、イエス・キリストによる神の計画の救いを総括的に説明しています。この部分は、人知を超えた計画が啓示され、異邦人がユダヤ人と共に救いの業に預かっている秘儀を解いているのです。ローマの手紙が総論的な神の救いの計画を解き明かしているのに対して、エペソの手紙は神の救いの計画を語っていますが少し切り口が違います。エペソの手紙は、教会が神の救いの計画において、どのような役割をもっているかという視点から書かれています。

エペソの手紙の後半部分は、神の計画によるクリスチャンの実生活が、具体的に解き明かされています。

学者・注解書によって違ったアウトラインが、紹介されています。これは、むしろ当然のことです。アウトラインとは、あくまでも読者から見た手紙の構造だからです。読者が、内容をわかりやすく読むための道具と考えていいでしょう。たとえ著名な学者が作ったアウトラインにせよ、同じようにパウロが「エペソの手紙」を書いたかどうかは甚だ疑問なわけです。しかし、読者の方々が次のアウトラインを参照にして、手紙の内容の把握をしていただければ、管理人にとってはこの上ない喜びです。

エペソの手紙のアウトライン

アウトライン

  • あいさつ(1章1節―2節)
  • イエス・キリストによる神の救いの計画(1章3節―3章21節)
    • キリストによって選ばれた民の霊的な恵み(1章3節―14節)
    • パウロの祈りー神の救いの計画と力を理解できるように(1章15節―23節)
    • 神の救いの計画がクリスチャンに成就される過程(2章1節―22節)
      • 神の恵みによる救い
      • キリストによって成就されるユダヤ人と異邦人の一致
    • 異邦人への宣教と神の救いの計画(3章1節―13節)
    • パウロの祈りーキリストの人知を超えた愛に満たされるように(3章14節―21節)
  • 神の救いの計画とクリスチャンの実践生活(4章1節―6章20節)
    • キリストのからだの一致(4章1節―6節)
    • 成人のクリスチャン(4章7節―16節)
    • 旧い生き方から新しい生き方へ(4章17節―24節)
    • 新しい生き方の基準(4章25節―5章20節)
    • 新しい生き方の人間関係(5章21節―6章9節)
      • 夫と妻の関係
      • 親と子の関係
      • 奴隷と主人の関係
    • 霊的な戦い(6章10節―20節)
  • 結語(6章21節―24節)
    • 末尾の挨拶
    • 祝福の祈り

エペソの手紙の中心的メッセージ

エペソ人への手紙のアウトライン

 パウロは、「イエス・キリストによる和解と一致」を小アジアの異邦人クリスチャンに伝えています。イエス・キリストによる救いの計画の起源は、天地万物の創造以前にあります。この計画は、福音としてアブラハムに啓示されました。(ガラテヤ3章8節)。

その後、主はアブラムに仰せられた。「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」

(創世記12章1節―3節)

アブラハムは、神から四つの約束(約束の地、神の国民、神の祝福、すべての民族の祝福)を受けます。最初の三つの祝福は、アブラハムの子孫であるイスラエルの民が、約束の地に住み神の民として住むようになったときに、成就されました。しかし、最後の約束は旧約の時代では成就されませんでした。

神の民であるイスラエルが、捕囚の民になった時でさえ、神はアブラハムに与えた約束を覚えておられました。預言書においては、イスラエルの民は裁きのメッセージを受けます。同時に希望・復興のメッセージを受けるのです。復興された新しいイスラエルには、異邦人も加えられ、ユダヤ人と異邦人が共に神を礼拝すると預言されています。アブラハムに与えられた約束が、預言書で繰り返し述べられているのです。神はご自分が言った約束を常に覚えておられるお方です。驚きです。そして、その預言の成就は、見事にイエス・キリストによって成就されたのです。

パウロは、ローマ書では律法と福音を比較しながら神の計画を説明しています。一方、エペソ書のメッセージの焦点は、異邦人クリスチャンたちが受けている福音の恵みに当てられています。異邦人がイスラエルの民、神の民として受け入れられた恵みを、パウロは神の御業として解き明かしているのです。さらに、人知を超えた愛と知恵に感謝しつつ、御心にかなった生き方をするように勧められています。

日本人クリスチャンにとって特に大切なメッセージ

最後に、エペソの手紙を読むとき、心に留めておいて欲しいことを4つ挙げておきます。これらの点は、特に日本人クリスチャンにとって重要だと思われるので、ぜひ熟慮して読んでみてください。

  1. エペソの手紙には、神学的に教会の土台になるような教えがたくさんあります。エペソの手紙を福音書とあわせて読み、神の救いの計画より深くできるでしょう。
  2. 一世紀の異邦人の宗教観と日本人の宗教観には、多くの共通点があります。エペソの手紙には、未信者の異邦人からクリスチャンになる霊的成長のプロセスが書かれています。霊的成長とは何かを私たちに説明してくれています。99%以上の日本人が未信者です。エペソの手紙のメッセージは、ダイレクトに私たちの生活に当てはまります。
  3. 一般的に、日本人は一世紀の異邦人のように非常に迷信的です。同時に霊的戦いという認識が欠如しています。その意味で、エペソ6章でパウロが書いている霊的な戦いの定義は、日本人クリスチャンにとって大いに習うべき点があります。
  4. また娯楽という点でも、1世紀の異邦人と日本人には多くの共通点があります。ノンークリスチャンとクリスチャン生活の対比という意味で、役に立つ戒めを日本人クリスチャンに与えています。

以上、このようなことを考えながら、この注解を参照にエペソの手紙を読んでください。感想などいただければ本当にうれしいです!

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