主イエス・キリストは、十字架にかけられる前に、助け主である聖霊が与えられるという預言をします。聖霊の約束は、すべてのクリスチャンに与えられています。しかし、使徒たちには聖霊の違った働きだけが与えられました。使徒たちの権威とミッションについて考えてみます。
21世紀においても、主イエス様の使徒はいるのでしょうか。1世紀の使徒の権威は何だったのでしょうか。実際、21世紀の使徒であると自称している方々が、キリスト教の世界ではいます。主イエス様が任命した使徒とは、どんな人であったのでしょうか。この疑問に答えながら、使徒たちの権威とミッションを解き明かしていきます。
聖霊が与えられるという約束
主イエス・キリストは、弟子たちに聖霊が与えられるという約束をします。次の参照聖句を読んでみましょう。
わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。この方は、真理の霊である。世は、この霊を見ようとも知ろうともしないので、受け入れることができない。しかし、あなたがたはこの霊を知っている。この霊があなたがたと共におり、これからも、あなたがたの内にいるからである。ヨハネ14章16-17節 聖書協会
この聖句は、すべてのクリスチャンへの約束を現しています。しかし、その聖霊の働きは、人それぞれ与えられた役割によって違うのです。使徒たちに与えられた聖霊の働きは、私たち一般のクリスチャンに与えられているものとは違います。

使徒たちの権威とミッション
主イエス様は、ペテロをはじめ12人の人々を選び、使徒として任命しました(マタイ10章1‐4節)。さらに主イエス様は、聖霊が使徒たちにすべての真理を教えると言ってます(ヨハネ16章12-13節)。この聖霊の働きと導きによって、使徒たちは新約聖書を書くことができたのです。21世紀に生きる私たちが、新たな聖書を書くことは許されていません。
わたしが父のもとからあなたがたに遣わそうとしている弁護者、すなわち、父のもとから出る真理の霊が来るとき、その方がわたしについて証しをなさるはずである。あなたがたも、初めからわたしと一緒にいたのだから、証しをするのである。ヨハネ15章26-27節 聖書協会
ここでは、主イエス様は、使徒たちに特別なミッションを与えます。
使徒たちは、キリストの宣教の始めから、神の御国の宣教メッセージを聞いていました。使徒の資格の大元は、主イエス様にあります。主イエス様が直接、彼らを任命しました。使徒たちは、主イエス様と寝食を共にし、主イエス様の福音の秘儀を教えていただいたのです。彼らは、福音メッセンジャーとして証しなさいと命じられたのです。このミッションの権威は、使徒たちが最初から主イエス様と一緒にいたことに基づいています。
復活した主イエス様は、さらに使徒たちにキリストの証人として役割を改めて与えます。その個所、ルカの福音書24章45-49節を読んでみましょう。
『メシアは苦しみを受け、三日目に死者の中から復活する。また、罪の赦しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる』と。エルサレムから始めて、あなたがたはこれらのことの証人となる。わたしは、父が約束されたものをあなたがたに送る。高い所からの力に覆われるまでは、都にとどまっていなさい。ルカの福音書24章46-49節 聖書協会
使徒たちは、主の十字架の死と復活の証人です。主イエス様の教えを直接聞いただけでなく、主イエス様が十字架で死に3日目に復活されたことを目で見た証人です。ここに主イエス様が使徒たちに与えた権威があるのです。彼らは、約束の聖霊をエルサレムで待つように命令されます。
イエスは苦難を受けた後、御自分が生きていることを、数多くの証拠をもって使徒たちに示し、四十日にわたって彼らに現れ、神の国について話された。そして、彼らと食事を共にしていたとき、こう命じられた。「エルサレムを離れず、前にわたしから聞いた、父の約束されたものを待ちなさい。ヨハネは水で洗礼を授けたが、あなたがたは間もなく聖霊による洗礼を授けられるからである。」さて、使徒たちは集まって、「主よ、イスラエルのために国を建て直してくださるのは、この時ですか」と尋ねた。イエスは言われた。「父が御自分の権威をもってお定めになった時や時期は、あなたがたの知るところではない。あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」使徒1章3-8節 聖書協会
弟子たちは、主イエス様の命令通りに五旬節のときに、エルサレムに留まっていました。しかし、ここで問題が生じました。神様のみこころによって定められた12人いるはずの使徒が、1名たりません。なぜなら、ユダが主イエス様を裏切り自ら命を絶ってしまったからです。そこで使徒たちは、旧約聖書の詩編に示された預言によって新たに使徒を選ぶことにしました。使徒を選ぶ基準は何だったのでしょうか。

そこで、主イエスがわたしたちと共に生活されていた間、つまり、ヨハネの洗礼のときから始まって、わたしたちを離れて天に上げられた日まで、いつも一緒にいた者の中からだれか一人が、わたしたちに加わって、主の復活の証人になるべきです。」使徒1章21-22節 聖書協会
使徒になる基準は2つありました。一つは、最初から主イエス様と生活を共にして、直接主イエス様の戒めを聞いた人であること、第二に、主イエス様が天に引き上げられる時までいっしょにいたことです。
この結果、マティアが使徒として選ばれたのです。使徒たちは、忠実に神様の御心を守りました。12は神様が定めた大切な数字です。たとえば、イスラエルの12の部族、12の使徒。月足らずで生まれた使徒パウロがいますが、11人の使徒たちはそれを知る由もありませんでしたから、神様が定めた数字を守ったのです。
キリスト教の歴史上、自らをイエス・キリストの使徒であると名乗る人が現れています。21世紀の現在もそのような人がいます。しかし、そのような人々は、明らかに主イエス様が警告する偽預言者であり偽使徒です。メッセージも聞いてはなりません。今日、自称使徒と主張している人には、父なる神様の大きな裁きが下されるかもしれません。
使徒たちの特別な役割はこれだけではありません。使徒たちは、神の御国において、主イエス様の食事の座につき、イスラエルの12部族を治めることになります。
あなたがたは、わたしが種々の試練に遭ったとき、絶えずわたしと一緒に踏みとどまってくれた。だから、わたしの父がわたしに支配権をゆだねてくださったように、わたしもあなたがたにそれをゆだねる。あなたがたは、わたしの国でわたしの食事の席に着いて飲み食いを共にし、王座に座ってイスラエルの十二部族を治めることになる。ルカ22章28-30節 聖書協会
この約束は、使徒たちだけに与えられています。主イエス様が再臨される時、私たちは使徒たちと共に主イエス様の父なる神様をあがめるのです。
使徒たちの権威と一般のクリスチャンの違い
最後に、使徒たちの権威とミッションをまとめてみましょう。聖霊なる神様は、使徒たちに、真理を教え導き、主イエス様の死と復活の証人として宣教を導きました。その結果、使徒たちは聖霊の導きと働きによって新約聖書を書くことができたのです。後の世の人々が、神様の御心と福音を聞くために書いたのです。
ここで誤解してはいけないことがあります。すべてのクリスチャンは、使徒と同じ聖霊をいただいています。しかし、私たちが頂いている聖霊の働きは、使徒たちが与えられた聖霊の働きとは違うのです。
私たちクリスチャンは、聖霊なる神様の力と導きを信じます。聖霊なる神様が、一人一人のクリスチャンに働いてくださり、整えてくださっています。聖霊の力によって、罪の力に対しても打ち勝つことが出来るのです。今日も主イエス様に感謝いたしましょう。読者の皆様に主イエス様の尊い祝福が宿りますように。
コメントは、管理人が承認後に表示されます。保留中になります。