コンテンツへスキップ 投稿日:2021年10月23日/更新日:2025年2月22日

心動かされる詩集

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心動かされる詩集

心動かされる詩集です。ハイネ・タカムラはペン・ネームです。すばらしい詩に心動かされました。素朴な詩は、読者の心に訴えるのではないでしょうか。

著者紹介 平林恭正

救護施設ナザレ園では創設の精神の基づいて毎朝チャペル(キリスト教の礼拝)が行われています。そこで初めて平林さんにお会いする機会が与えられました。毎週チャペルの後に聖書のお話やいろんなことを話し合うようになりました。それから、15年程が経ったでしょうか。

平林さんは1945年長野県に生まれました。生まれつき目が弱く、人の姿がかろうじて分かる程度だったそうです。ところがここ数年で明暗さえわからなくなりました。また、見えない目が激痛にみまわれることがあります。足も不自由で腕力も十分ではなく車椅子を誰かに押してもらわないと、どこにも行くことが出来ません。
詩はずいぶん昔からやっていたそうですが、はじめは盲人用のカナタイプで書き留めていきました。1998年に盲人用のワープロとプリンターを購入し、巧みに使い始めました。一度打った字を自分で確認できなかったのに比べると、このワープロになってから機械が40字まで読み返すことが出来るようになり一段と作詩に力が入ったようでした。

たくさんの詩を見せてもらい、大変感銘を受けました。涙なしに読めないものから、ユーモアたっぷりのものまで実に幅広い内容が含まれています。是非、多くの方に知って頂きたく思い、その旨をお聞きすると大変喜んで快く許可して下さいました。

平林さんの詩の特徴は、施設での生活とそこに生活する人の様々な心象景画が一つ一つの詩を通して伝わって来ることだと思います。私達の多くの人にとっては全く知らなかった、思いもよらない「喜びと感謝」、「苦労や悲しみ」が描かれています。詩集全体から、どこか人生の悲しみや苦しみを、あるいはたくさんの愚痴を貫いて、一条の光のような希望が感じられるのです。これは平林さんがイエス・キリストを信じるクリスチャンの信仰からきているものと思います。

この詩集を読んでくださった方が何かしら今までとは違う「生きる勇気や希望」を発見することが出来たら何と素晴らしいことかと思います。

最後に、大部施設長と職員の皆様、また労を惜しまず何度も構成や製本作業をしてくれた妻や峰原さんに、また発行のために献金をしてくださった水戸キリストの教会、大みかきリストの教会の有志の方々に感謝いたします。
平林恭正さんの詩集を発行する会 
代表 安宅秀樹 (大みかキリストの教会 元伝道者・長老)

1 「おら、もう駄目だ」  1999年8月18日

おら もうだめだ
きみに会う資格なんかないのさ
いや そればかりか 詩を書くことさえはばかられて
いつまでも 友達になってほしかったけど
この体じゃ いずれ迷惑かけるから
悲しいけど しあわせにね
さよなら

2  「なんぼにも」  1999年8月23日

いやなんです ポータブルを使うのが
人に不潔だと思われるのが
やさしいふりをして馬鹿にする
そんな態度はどうかしないでください
いつの日かあなたも弱くなるからです

3 「俺は杜子春」  1999年9月9日

俺は杜子春かもしれない
友達を欲しいばかりに財産を使い果たした
あの愚かな杜子春
峨眉山の頂きで魔性の者に試された
お人好しで気弱な杜子春
それでいいのさ
騙すより 騙される方がいいのさ
とはいっても
騙されるのも ほんとうはいやだ

4  「一瞬の喜び」

今朝起きたら
びんこのななめ前に大きなニキビが出来ていたよ
ぼくは ちょっとばかり得意だった
あの人に思われている
そんな気がして嬉しかった
でも待てよ
この年で出来るのは
ニキビでなく吹き出物じゃないか
それに場所がちがう
こんな所に出来るのはさしづめ
呪いのニキビというところだろう

5  「幸せな一日」  1999年11月19日

幸せで楽しい一日をありがとうございました
お陰で 僕のいらいらも
すっかり解消できました
でもそれは 兄弟姉妹と集う時
帰ってくれば元のもくあみ
やっぱり僕の安らぐ場所は
神様 教会なのです
これからもいろんな教会にお導き下さい
入院中の寮母さんに会えたのを感謝します  アアメン

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