エペソ1章3-14節のギリシャ語の構成について解説します。この聖句は、新約聖書の原語ギリシャ語では非常に長い文です。ギリシャ語本来の意味が強調されていない日本語の翻訳では、著者パウロの真意が若干不明になっています。しかし、この聖句の構成をギリシャ語に沿って理解することにより、パウロの意図がより明確になると思います。

エペソ1章3‐14節の構成

エペソ1章3—14節を読んでみましょう。この箇所は、原文であるギリシャ語では、非常に長い文です。日本語で言えば「・・・して・・・して・・・して」という非常に幼稚な文ですが、ギリシャ語では何ら問題はありません。それでもこの文は比較的長い部類に入ります。この箇所について学者たちの意見は、二分しています。一方で、「異常に長く文意の欠落極まりない」という意見もありますが、他方「神の計画と恵みを見事に表現している」と賞賛する学者もいるのです。さて真実は何でしょうか。
この聖句全体を文脈に沿って読んでみれば、パウロが「キリストによる神の恵み」を簡潔にまとめていることに気づかれると思います。この聖句の構成は、3節と4節で明確に分かれています。3節でパウロは神を褒め称えています。4節以降で、なぜ神を褒め称え賛美すべきなのか、その理由(神の選び、神の養子縁組、神の憐れみ)が述べられているのです。
翻訳の観点から、この聖句をどこで区切るか、どこに句読点を入れるかは悩ましい問題です。新改訳第2版の8節―11節の翻訳は、目を引くほど非常に長いです。翻訳者は、この箇所を一つのまとまりと考えたのでしょう。それに対して新改訳2017版は、(おそらく長すぎるという批判があったと思われます)少し短くして8節から10節までを一つの文にしています。新共同訳が8節-10 節を短く区切っているのは、興味深いところです。どちらの翻訳も一長一短あります。
キリストの恵みゆえに、神様をほめたたえる
3節には全部で23の単語がありますが、パウロはこの短い節のなかでeulogという言葉を三回(形容詞、動詞、名詞)使っています。これは注目に値します。Eulogは通常、「褒め称える」「祝福する」「恵み」などと訳される言葉です。

パウロはこの言葉を見事に使い分けています。冒頭で、「神が、eulog 褒め称えられるように」と書かれていますが、パウロは同じ単語eulogを使い、神が賛美されるべき理由を説明しています。神は、霊的な「eulog恵み」によって、クリスチャンを「eulog祝して」下さいました。ゆえに、神は「eulog褒め称えられる」べきお方であると、パウロは主張しているのです。この言葉の掛け合いは、日本語で言えば川柳のような言葉遊びとも言えるでしょう。
この聖句が明言しているように、天にいらっしゃる神の栄光だけが輝くべきです。神だけが褒め称えられるべきです。すべてのすばらしい恵みが、神から来ているからです。(クリスチャンであっても、人の誉れと栄光を求めたくなります。)
