瞬きの詩人 水野源三さんの神との出会いをもとに、「神は万事を益として下さる」というテーマで、御茶の水キリストの教会の伝道者である野口良哉さんに寄稿していただきました。
神はすべてを益としてくださる
「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。」
ローマ人への手紙8章28節
瞬きの詩人 水野源三さん
「瞬きの詩人」こと、水野源三さんをご存知でしょうか?・・・水野源三さんは9歳の時に集団赤痢になり、弟さんは回復したものの、源三さんは高熱が下がらず、その後遺症で、重度の脳性小児まひを発症してしまいました。それまで野山を走り回っていた活発な少年が、瞬き以外の何もできなくなってしまったのです。12歳の頃、一時的に片言が話せるような時期もあったそうですが、その時、口をついた言葉は「死にたい、死にたい」だけだったそうです。
そんな水野源三さんが、パンの委託加工をしていた母親のもとにパンを買いに来た近所の牧師さんと出会い、やがて、イエス・キリストとの決定的な出会いました。・・・哲学者マルチン・ブーバーの言葉「人生は出会いで決まる」とは良く言ったものです。
水野源三さんの出会い 苦しみの中でこそ出会えるお方
ところで、当時、ほぼ放置状態だった水野少年に、ふとしたことからコミュニケーション能力があることを知った母親は、五十音表を示して、水野少年に瞬きを合図に言葉を拾わせ、なんと詩作の才能をも見出していきます。「瞬きの詩人、水野源三」の誕生です。
こんな言葉があります・・・「苦しみの中でこそ開かれる世界がある」。苦しみの中でこそ、出会えるお方がおり、苦しみの中でこそ、味わえる境地があるのではないでしょうか?水野源三さんが、その苦しみの中で開くことになった世界、水野源三ワールドの一端を紹介しましょう。「悲しみよ」という、水野源三さんの詩を味わって下さい。
「悲しみよ」
まさに、最初に掲げた聖書の言葉にありましたように、水野源三さんは「神がすべてのことを働かせて益としてくださること」を悟ったのではないでしょうか?
混迷している世の中でも、万事を益としてくださる神に信頼
長引く地球規模の脅威としてのコロナ禍、世界を震撼させているロシアのウクライナへの軍事侵攻、頻発する大きな地震などなど、なかなか苦しみの中に開かれる世界を見ることができません。万事が益とされている感覚が味わえていないかもしれません。
しかしながら、まずは、日常の些細なこと、ほんの小さなことにおいてから、マイナスにプラスを見つけていきたいと思います。・・・そういえば、いつの間にか、春がやって来ているのではないでしょうか?
「苦しみに会ったことは、私にとってしあわせでした。私はそれであなたのおきてを学びました。」 (詩篇119篇71節)